ゴッホの生と死 4
しかし、ゴッホの方は満足していても、ストークス師としては、貧しい父兄からの月謝取立てに関してまったく無能なこの教師を雇っているわけにはいきません。
7月に、ゴッホは、同じアイルワースで、ジョーンズというメソジスト派の牧師がやっている学校に移り、そこでは、やがて、授業のほかに、一種の補助伝道師として、諸方に説教に出かけるようになります。
教師と牧師という、彼の理想だった2つの仕事を、まがりなりにもともに果しえたわけで、彼がこの仕事に全身全霊を打ちこんだのは当然でしょう。
彼がテオに書き送る手紙は、どれもこれも、神への熱狂的な賛美にあふれていて、その信仰の純一と徹底性のために、呼んでいてある危うさまで覚えるほどです。
ディケンズの小説で炭坑夫の悲惨な生活を知った彼は、炭坑の伝道師を志しさえします。
あいにく、25歳にならなければだめだということで彼の希望は叶えられませんでしたが、彼のこの希望は、人道主義的感傷といったものではまったくないのです。
生の最低地点にその身を重ねあわせたいという、彼の渇望の表れなのです。