ゴッホの生と死 3
それにしても、生きるためには何かの仕事をしなければなりません。
ゴッホはイギリスにわたり、ロンドンの東、ドーバー海峡に面したヲムズゲイトにあるストーグス牧師の寄宿学校の住込み教師としてつとめることとなります。
彼は、そこで、10歳から14歳までの24人の寄宿生にフランス語やドイツ語や算術を教え、朝晩いっしょに聖書を読み、賛美歌をうたい、お祈りをしました。
6月に、学校は、ロンドン洒郊のアイルワースに移ります。
スドークス師は、「部屋と食事だけで充分教師を手に入れることができる」という理由で、ゴッホに月給を払おうとしませんが、「最近のぼくには、この世には教師と牧師・・・以外に職業はないように思われてきた」とテオに書き送るゴッホには、それでもなお、この仕事は、グーピル商会の店員よりは、はるかに満足すべきものだったでしょう。
「ロンドンのマーケット街から来ている21人の少年たちが
『天にましますわれらの神よ・・・今日われらに日々のパンを与えたまえ』
などと祈るのを聞いていると、ぼくは主が聞いておられるわたりがらすの雛たちの鳴き声を思い出すのだ。
そして、彼らといっしょに祈り、『われらを嘗試に遇わせず、悪より救い出したまえ』という言葉で彼らがやるよりももっと低く頭を垂れることはぼくには気持がよかった」
・・・という手紙のなかのことばからもそれを察することが出来ます。